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J'ai deux amours

ワープというのか、京都と鹿児島を行ったり来たりしていると、

ときどき時間空間のねじれる感覚がある。

この五月の謡の師匠の急逝はまことに痛恨事であった。

週末、初盆ではあるし奥様に何か、といつも和花を頼む花屋に行ってみたが、

祇園祭の花である檜扇(ひおうぎ)以外に花がない。

それでも何とかと、正しく鰻の寝床の奥までさらってもらうと、

タメトモユリという初めて知る名の百合の花が出てきた。

源平の武将達には全く明るくないが、

ハテどこかで聞き覚えが、と記憶を辿れば、

薩摩半島を枕崎まで歩いた三年前、

炎天下にスウェットスーツという思い出すだに恐ろしい道行で、

ひととき腰を下ろして息をついたのが、

落ち延びた源為朝がそこに座って琉球への舟を日ごと待ち続けたという、

為朝石なのだった。

絡み合う深い樹々がちょうど目隠しのような静かな入江を見下ろして、

なるほど滑らかで座り心地の良い黒い石だった。

 

曽我十郎五郎ものの『小袖曽我』が上がったならば次は、

『大原御幸』をお願いしようと、

心ひそかに余りといえばあまりな野望を抱いていた矢先の訃報だった。

ご葬儀から十日ほど経って、

かつて後白河院が安徳帝を喪ってなお生き延びた建礼門院を訪ねた寂光院へ、

源氏政権を憚って静原の補陀落寺詣でに偽装したその足跡どおりに

鞍馬からふた山越えて大原に入り、師匠へのひそかな供養としたことだった。

 

 

7月25日

 


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